be more humid









今日、ただのともだちどうしから恋人どうしになった。
ゾロにははじめての経験だった。
サンジが立っているだけで、ふうとそちらに目がすいよせられてしまうし、
サンジが笑うだけで、胸の奥がきゅんとちぢこまる。
すべてが、はじめて経験することだった。





目、つむって。





目元も、ほっぺたも、耳も首も真っ赤にしたサンジにうながされてまぶたを閉じると、
頬骨にぺたりとやわらかいものがあたった。
おかえしに、ゾロはサンジのおでこにはりついた髪をなであげ、
あらわれたつるりとした場所にキスをした。
自分がだれかにこんなことをするなんて考えたこともなかった。





サンジのうちに泊まりにいくのが何回目かになった。
サンジのうちに行くと、ゾロはおいしいものを食べさせてもらって、
食事の後片付けを手伝って、ならんでビデオを見たりたわいのないはなしをしたりして、
サンジのベッドのとなりにふとんをしいて寝る。
それだけでとてもしあわせなはずなのに、何か足りないんじゃないかと不安になる。
いつもだ。
「おやすみ、ゾロ」
けれどそのおしだすような声を聞くとどうでもよくなってしまって、
ほとんど強制的にゾロはねむたくなってしまうのだ。





最近、サンジのことを考えながらオナニーするようになっていた。
今までどうしてしていなかったのかわからないくらい、それは自然な行為だった。
サンジの手を、声を、ぬくもりをおもって自分のものにふれると、
自分でもしんじられないくらいゾロはきもちよくなってしまう。
それまで自分はそういうことに関して淡白なたちなのだとなんとなくおもっていた。
そうではなかった。
ただ、サンジと出会っていなかっただけだった。





サンジが、となりの50センチくらい高い場所で寝息をたてはじめたのがきこえる。
タオルケット一枚を腹のあたりにのせて、
ゾロがなんどもなんども頭のなかで形をなぞり、想像のなかでゾロにきもちよくした手を片方、
その上においている。
開けはなした窓から風がはいるとカーテンがめくれて、
そのすきまから電灯の光にがさしこみその手を白く映す。





あの手、あの手だ。





ゾロはそっと起きあがると、タオルケットをひっぺがし、
ベッドを揺らしてしまわないよう、慎重にサンジをまたいで膝立ちになった。
起きねえかな。
じっと見つめる。
まぶたはぴたりと閉じたままだし、寝息は規則正しい。
こわごわと、手をとった、焦がれるように想い描いた手を。
たったそれだけのことで、下半身が熱をもちはじめた。
かりもののパジャマの布地をおしあげている。
少しはずかしくて、サンジの顔を盗み見る。
相変わらずサンジはねむっている。
ゾロのこんな想いには気づかずに、サンジはねむっている。





とりあげたサンジの手を、自分のものに押し当ててみる。
パジャマのやわらかなコットンごしにサンジの手のぬくもりをかんじる。
かけ算で熱が増す。
ぐいぐいとなんどもそれをにぎらせる。
きもちよくて、もどかしくて、とうとうゾロは自分のズボンとトランクスをずりさげ、
サンジの手ですっかり形を変えたそこにじかにふれた。
ぎゅ、ときつく目をとじる、それからしっかりとくちびるをかみしめる。
そうしないとだらしない声でサンジを呼んでしまいそうだった。
サンジの手と自分の手とを重ねて、かたくなったものをこすった。
背筋をつうと汗がながれる、それだけでぞくぞくと快感がはしる。
膝がふるえてわらいはじめて、たえきれなくなってとうとう、サンジの腹に腰をおろした。
サンジを起こしてはいけない、そんな考えはとうに頭のそとにおいやられていた。
自分でするときのようににぎった手を動かしながら、ゾロは夢中で快感だけを追いかけた。
もとからすこし汗をかいていたサンジの手は、ゾロがこぼした先走りでさらにぬれた。
いやらしく湿った音を聞き、あらい息をつき、うっとりと目をつむったゾロは、
サンジの声で名前を呼ばれて果てた。





「ゾロ」





サンジが起きてしまっていた。
当然だ。
目をさまさないほうがおかしい。
「な、なにしてんの」
ゾロはまだサンジの手をにぎったままだ。
ゾロのだしたものでべとべとに汚れている。
サンジが、その手をとちゅうまでむすんで、
濡れているのに気づいてためらうようにふたたびひらいた。
「自分でしてた」
あらい息を肩をゆすりながらも、こともなげにゾロは言う。
サンジはどうしたらいいのかわからない、といった顔をしていた。
ゾロもどうしたらいいのかわからなかった。
どうしたいのかもわからなかった。





「お前の手、な」
ふう、と湿ったためいきをつく、部屋中がゾロの興奮で湿っている。
「すげぇきもちよかった」
ゾロのだしたものの青臭いにおいが、出口なくよどんでいる。
ゾロはサンジのうえにおおいかぶさるように体をたおして、
とまどったままの目元にキスをした。
「したい」





口にするとすとんと心におちついて、なんだそんな簡単なことだったのかと笑みがこぼれた。
足りないとおもっていたものの正体。
ただゾロは、サンジに触れまた彼の手でふれられることで、
もてあました熱さをわけあいたいだけだったのだ。







8月6日の日記より。
えろ書き練習中、えろくないえろ、頭は沸騰18さい。