Saturday Night Fever









ストリートに垂直に交わる細い道にパブが並んでいる。
そのうちの一軒でギネスを一杯ひっかけて、義務は果たしたとばかりにゾロは席を立つ。
えーなんで帰っちゃうの、と引き止める女の腕をすげなく振り切って、
何人もの酔っ払いにぶつかりそうになりながらなんとか店の外に出た。
人ごみは苦手だ。
土曜の夜に、わざわざパブに出かけてバカ騒ぎをするやつの気が知れない。
家に帰って部屋で静かに飲みなおそう、とゾロは心に決める。





パブの外にもジョッキを片手に大声でしゃべる人々がちらほらと見受けられる。
また、完全に出来上がって店内から放り出されたとみえるのも数人。
そのうちの、向かいのパブの戸口のわきにへたりこんでいた一人がやおら立ち上がると、
満面の笑みを浮かべて道ゆく女たちに投げキッスを送りはじめた。
両手を口元にあてて、それから大きく両腕を広げる動作を繰り返している。
女たちはウィンクや苦笑で軽くあしらって彼の前を通り過ぎていく。
あほか、とゾロが歩みだすと、何をおもったのか彼はゾロにもキスをひとつ、投げてよこした。
普段だったら馬鹿にされたと怒りだしたくもなろうが、その酔っ払いの顔は酔っ払いでしかなく、
あまりにも無邪気で、ゾロはなんだかあきれかえって怒る気力も萎えてしまった。
代わりにゾロは戯れに、指先にくちづけて、その手をすばやく彼のほうへ向けた。
彼の動きが止まる。
トドメとばかりに艶っぽく微笑んでやる、先に誘ったのはそっちだ、と言わんばかりに。
それでおしまい、相手の酔いはさめて、今日はもう帰るだけだと踏んだ。
しかし酔っ払いは青ざめ、また真っ赤になって、こちらから見てもわかるほどに身震いして、
それからもつれる足でゾロのほうへ駆け寄ってきた。
バカみたいにゾロに向かって投げキッスを連発しながら。
ゾロがひとりで飲むのは、しばらくおあずけのようだ。







またしても実体験ですよ!笑
アフロのよっぱらいのおっさんが道行く女の子に投げキス連発してて、
私もされたんで軽い気持ちで返したら超高速で連発されて取り返しのつかないことになりました。
別にそのあとどうにもなってませんけど!サンゾロにはどうにかなってほしいです。